【徹底解説】フリー戦略の具体例5選!メリット・デメリットや導入の手順も紹介
「フリー戦略が気になっているけど、どうやったら成功するんだろう?」
「成功した具体的な事例が知りたい」
「フリー戦略という言葉を聞くけど具体的にどういうこと?」
ネットビジネス
初心者
無料で何かを提供することで、利益を生み出すフリー戦略。
クリス・アンダーソンがFREEという書籍を出版したことで、一躍有名になりました。特にWeb系のサービスと相性の良いフリー戦略ですが、具体的にどうすれば成功するのか疑問に持っている方もいるでしょう。
そこで本記事では、フリー戦略の具体例を紹介しながら、以下の内容について解説していきます。
- フリー戦略の概要と4つの種類
- メリット・デメリット
- 導入の注意点
この記事を読めば、フリー戦略を導入すべきか、またどのように取り入れていけば良いのか具体的なイメージが湧くでしょう。
ぜひチャレンジしてみてくださいね!
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フリー戦略とは!概要をサクッと解説
フリー戦略とは、サービスの一部を無料提供することで、逆にお金を稼ぐビジネスモデルです。最初に無料で商品を提供することで見込み顧客を集め、リストを獲得していきます。
たとえば、以下のような事例があげられます。
- 無料で剃刀を配って使い心地を試してもらい、替え刃を買ってもらう
- 無料で楽曲を配信してコンサートで利益を出す
フリー戦略には、向き不向きがあるので、さらに詳しく解説します。
1.フリー戦略が向いているビジネス
フリー戦略はWeb系のビジネスと相性が良いものです。
Web系のコンテンツは、最初に作成してしまえば複製に費用がほとんどかかりません。そのため、無料提供するだけ赤字になるといった事態を避けられます。
逆に、提供自体に高いコストがかかるものにはフリー戦略は適しません。無料で使われるほどコストがかさんでしまい、他の有料サービスでペイするのが難しくなるためです。
有形の商品にフリー戦略を用いる場合は、その分を取り戻すことができるのか、より深く吟味する必要があります。
2.サブスクリプションとの違い
フリー戦略とよく似た事例として、「サブスクリプション」が比較されます。サブスクリプションは、商品・サービスの利用期間に応じて料金を支払ってもらうビジネスモデルです。
サブスクリプションのユーザー側のメリットは、バージョンアップやサポートに対応した最新のものが常に使えること。また、一期間だけ使うものであれば、トータルコストを下げられることにあります。
逆に、提供側としても、最初に大きなコストを払う売り切り型に比べて、導入してもらいやすいのが利点です。
一方で、安いとはいえコストがかかるので、導入のハードルはフリーのものより上がります。その点、無料であればまず使ってみようというユーザーが増えるので、フリー戦略の方が見込み顧客が集めやすいでしょう。
ただし、フリー戦略をとってしまうと、収益モデルをしっかり考えなければ黒字化できないのがデメリットです。
フリー戦略の4つの種類
フリー戦略でのビジネスモデルには、4つの種類があります。
- 直接的内部相互補助
- 三者間市場
- フリーミアム
- 非貨幣市場
それぞれ、どのような仕組みか解説していきます。
1.直接的内部相互補助
「直接的内部相互補助」は、フリーで提供するサービスを、自社内の他の収益でカバーする戦略です。
たとえば、以下のようなものがあげられます。
- エステやオンライン英会話の無料体験
- サンプルの配布
- 携帯端末の無料プレゼント
- 遊園地での子どもの入園料無料
無料体験やサンプル配布では、最初にまずはサービスに触れてもらい、気に入った顧客を集めることで収益化しています。
また、携帯端末やウォーターサーバーなどの商品を無料プレゼントするのも直接的内部相互補助の例。まずは無料で商品を配布し、通信料やウォーターボトルを販売することで収益を得ています。
他に身近なところでは、一部の人を無料にして集客する方法もあります。子ども無料、カップル入店で女性無料などのサービスをすることで、大人や男性など無料でない人たちの集客に利用し、収益化するモデルです。
2.三者間市場
利用者以外から収益を得るのが「三者間市場」のモデルです。
テレビやラジオが無料で利用できるのは、間に広告を挟んでいるから。
広告を流すスポンサー側が料金を支払うことで、サービス利用者は無料で使えます。また、銀行がクレジットカードを無料発行できるのは、消費者が利用するほど店側から手数料が入るからです。
3.フリーミアム
フリーミアムは、サービスの中に無料版とアップグレードした有料版を用意して、有料版を使っている人から収益を得る戦略です。Web系のサービスでフリーミアムを導入する場合、有料版を利用しているのは5%ほどと言われています。
多くの人に無料版を利用してもらい、口コミなどを集めることで、5%の有料顧客を集める戦略です。
4.非貨幣市場
お金以外の方法で対価を得るのが非貨幣市場です。
たとえば、一部の美術館や博物館は、補助金や寄付を募って運営資金をまかなっています。物々交換もわかりやすい例です。
そのほか、ユーザーの労働力を得ることでサービスをフリーで提供することもあります。たとえば、クチコミを書いてくれる人はサービス無料など戦略は非貨幣市場を利用したものです。
フリー戦略の具体例5選
Web系でフリー戦略を取って成功した例は数多くあります。ここではさらに具体的に成功事例を見ていきましょう。
- YouTube
- ゲームアプリ
- Dropbox
- Chatwork
- 写真AC
これらはすべて、初期費用がかからないにも関わらず、大きな収益をあげているサービスです。
1.YouTube
動画投稿サイトYouTubeは、多くの人に馴染みのあるサービスでしょう。
動画の視聴は基本的にすべて無料。その代わりに、間に挟まる広告を見なければいけません。
この広告を提供する会社から報酬を得ることで、投稿者に対価を支払い、一般のユーザーは無料で多くの動画を楽しめます。三者間市場で大きく成功した例といえます。
また、広告を煩わしく感じる視聴者には「YouTubeプレミアム」という上位サービスを提供し、広告をスキップできる代わりに直接対価をもらうモデルも構築。フリー戦略から2つの方法で収益を得ています。
2.ゲームアプリ
スマホゲームのアプリは、フリーミアムの最たる例。
基本無料でゲームをできるようにしており、多くのユーザーを集めています。その中で夢中になった一部のユーザーに課金アイテムを用意したり、上位版のゲームを用意して、ここから収益を得るモデルです。
特にソーシャルゲームでは、無課金のユーザーも重要な役割をはたしています。無課金でもゲームを利用することでシェアを伸ばせる上に、他のユーザーより強くなりたいと思った一部の人への課金を促しているのです。
3.Dropbox
Dropboxは初期費用無料のストレージサービス。
最初にタダでサービスを利用してもらい、容量が足りなくなったユーザーは課金してより多くのデータを保存できるシステムになっています。
無料の頃にサービスを十分に利用して、便利さを感じたユーザーならば、有料版に移行しやすいでしょう。
また、Dropboxは一般ユーザーにサービスを無料提供して認知を広げた後に、ビジネス向けのプランも展開。すでに利用者が多い状態でtoBに進出することで、宣伝費用を抑えて大きな利益を得ています。
なお、Dropboxは、年間予測売上10億ドルに創業から8.3年で到達。当時SaaS企業では最速だと言われており、フリーミアムをうまく活用した事例といえます。
4.Chatwork
Chatworkはビジネスチャットサービス。ITに強くない人でもわかりやすい画面設計にしており、利用者を伸ばしています。
Chatworkは個人間のやりとりは無制限。複数人でグループを作ってやりとりをすることもできますが、無料版ではこの所属グループ数に制限がかかっています。
Chatworkを多用するようになった人だけ費用をとるモデルにすることで、ヘビーユーザー化した人にアプローチしているのが成功の秘訣といえるでしょう。
5.写真AC
写真ACは、商用画像のダウンロードサービス。ただし、無料ユーザーは1日のダウンロード枚数などに制限がかかっています。
プレミアム会員に入ることで、以下のようなサービスが使えるようになります。
- ダウンロードの待ち時間ゼロ
- ダウンロード枚数無制限
- プレミアム素材を使える
- 写真検索無制限
無料会員でも十分サービスは使えますが、「ちょっと不便なところ」をあえて作っています。ここに不満を感じたユーザーだけ課金を促すことで、収益化に成功した事例です。
フリー戦略の3つのメリット
フリー戦略には、無料で使えるユーザーはもちろんのこと、サービス提供側にもメリットがあります。
- 利用のハードルが下がる
- クチコミを集めやすい
- お金を払ってもらいやすくなる
無料部分を作ることで、最初から有料のサービスを作るより収益化しやすくなるケースもあるので、ぜひご覧ください。
1.利用のハードルが下がる
無料といわれると、「とりあえず使ってみようかな?」と思う方も多いはず。
最初から高額なサービスの場合、評判を調べたり本当に使いやすいのか吟味したりするケースがほとんど。特に提供されたての商品・サービスの場合は、不安を感じて利用に踏み切れないことも多くあります。
フリー戦略をとることで、まだ認知されていなかったり、利用者があまり知らなかったりする商品・サービスでも利用してもらいやすくなります。
提供しているモノに自信があるならば、フリー戦略をとることで一気に利用者を集められるのがメリットです。
2.クチコミを集めやすい
無料提供により利用者が増えれば、その分クチコミも集めやすくなります。特に無料で使えるならば人にもすすめやすいので、より情報は拡散されていくでしょう。
初期のユーザーさえ集められれば、そこからはクチコミを活用できるので、長期的には宣伝広告費を削減できるでしょう。
3.お金を払ってもらいやすくなる
フリーミアム戦略を取り、無料のときにサービスの面白さや便利さを感じてもらうことで、有料版を導入するハードルが下がります。
また、直接的内部相互補助の場合も同様です。最初に商品を提供して便利さを感じてもらえれば、ランニングコストを払い続けてくれる方は少なくありません。
フリー戦略のデメリット
メリットの多いフリー戦略ですが、知っておくべきデメリットもあります。
- 黒字化に時間がかかる
- 運営コストを削減しないと黒字化しない
ビジネスモデル次第では、フリー戦略が適さない場合もあるので、あらかじめ確認しておきましょう。
1.黒字化に時間がかかる
フリー戦略では最初にタダでサービスを提供することになります。
認知が広がり、利用者が増えていくことで収益が得られるモデルなので、黒字化までには時間がかかることは覚悟しておきましょう。
開発コストが多くかさんでおり、すぐに利益を得ないと倒産してしまうようなケースでは、フリー戦略は向きません。また、利用者がそもそも少ないニッチなサービスでは、認知されるのに時間がかかりすぎるので、他の戦略をとる方が良いでしょう。
2.運営コストを削減しないと黒字化しない
フリー戦略では、多くのユーザーが無料で製品やサービスを利用することになります。そのため、運営コストを削減していかないとなかなか黒字化しません。
成功事例としてあげた「Dropbox」でも、利用者分のインフラを準備しなければいけないため、当初は売り上げの割に利益率が低いという課題がありました。その後、データを外部管理から自社保管に変えることで利益率を大幅に改善しています。
運営コストがどの程度かかるのかを事前に計算しておかないと、シェアも売り上げも高いのに利益が上がらない可能性がある点に注意が必要です。
フリー戦略の2つの注意点
フリー戦略を取る場合は、どのように収益を得るかというモデルづくりが非常に大切です。戦略を間違えると、せっかく無料で集めたユーザーが離れてしまう原因にもなります。
- 途中から有料化しない
- 有料化をわかりやすく差別化する
の2点が注意点。それぞれ解説します。
1.途中から有料化しない
フリー戦略をとる場合、何を有料にするかはサービス提供時によく考えておく必要があります。今まで無料だったものを有料に変えてしまうと、せっかく集めたファンが離れる原因になるからです。
たとえば「Chatwork」では、以下のように無料の条件を変更し、一時期は不満が多く上がりました。
- 前)同時に14個のグループまで作成しても無料
- 後)通算で14個のグループに所属するまで無料
今までグループの作成と脱退を繰り返して14個以下に押さえていたユーザーにとっては、改悪と感じる変更になりました。途中から有料になると割高に感じてしまうので、有料化する範囲をしっかり設定しておくことが大切です。
2.有料版をわかりやすく差別化する
有料版と無料版の違いがわかりにくい場合、フリー戦略は失敗します。無料とほぼ変わらない商品・サービスに対してお金を払うことに、人は強い抵抗を感じるからです。
有料版になることで今までできなかったことや、困ることが解決できるように商品設計しておきましょう。無料版にサービスの縛りをつけておき、ヘビーユーザー化した時点で物足りなくなるようにしておくのも効果的です。
フリー戦略を取り入れるときの手順
フリー戦略を取り入れるときは、どこで収益化するかというモデルづくりが非常に重要になります。ここを間違えてしまうと、無料ユーザーは増えたのに赤字のままサービスが終了するという事態を招きかねません。
以下の手順に従って、戦略を立ててみてください。
- 無料・有料の範囲を決める
- サービスをテストする
- 無料の範囲を再検討して最適化する
事前の検討をしっかりと行えば、収益化は可能です。
1.無料・有料の範囲を決める
最初にサービスの中で有料・無料の範囲を決めます。無料版だけでもサービスとして完結するようにするのがフリー戦略のコツ。そもそも普通に利用することすらできない状態であれば、サービスの便利さに気づかないまま利用をやめてしまうからです。
一方で、無料で使える範囲が広すぎて、有料版を使う人がいないという事態も避けたいものです。具体的な有料版利用者のターゲットを設定しつつ、サービスの範囲を決定しましょう。
なお、ターゲット設定の方法は「【実例解説】ターゲット設定はマーケティングの根幹!STP分析を通じて明確にターゲティングしよう」で具体的に解説しているので、ぜひこちらもご覧ください。
2.サービスをテストする
見込み顧客となりそうな人を選定して、実際にサービスをテスト運用するのがおすすめです。この中で、具体的な満足点や不満をヒアリングしましょう。
無料版のまますぐやめてしまったユーザーならば、不便な点をあげるでしょう。
一方で、長期利用したにもかかわらず、有料版に移行しなかった人にも理由を聞いてみることをおすすめします。このテストにより、どのくらいの人が有料版に移行するか、さらにどんなユーザーがメインの顧客になるかがわかってくるはずです。
なお、サービスをテストするときには、対象者のスクリーニングが重要です。スクリーニングの方法は「【事例解説】スクリーニング調査はマーケティングに有効!やり方や注意点を紹介」にて解説しています。
3.無料の範囲を再検討して最適化する
テストを行った後は、改めて無料の範囲を検討しましょう。
すぐやめてしまった人が多い場合は、もっと無料で使える範囲を広げた方が良いことがわかります。逆に無料版はしっかり使ったのに有料版に移行しない場合は、無料の範囲が広すぎたり、そもそもサービスの質に問題があったのかもしれません。
サービスの提供範囲を変えて繰り返しテストすることで、利益につながりやすいモデルが出来上がるはずです。せっかく認知が広がったのに収益化できなかったという事態を避けるためにも、ぜひテストを繰り返してみてください。
ぜひこの記事を参考に、自社にもフリー戦略を取り入れてみてくださいね!
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