【実例解説】ターゲット設定はマーケティングの根幹!STP分析を通じて明確にターゲティングしよう
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【実例解説】ターゲット設定はマーケティングの根幹!STP分析を通じて明確...
「ターゲット設定ってどうやるの?」
「マーケティングでターゲット設定は重要?」
「理論的に決める方法はある?」
マーケティング
初心者
など疑問を持っていませんか?
ターゲットをざっくりと決めただけでは、マーケティングで十分な効果は発揮できません。明確な根拠をもとにターゲットを設定し、分析に活用することが重要です。
そこでこの記事では、マーケティグにおけるターゲット設定の役割や、次の内容を解説していきます。
- ターゲット設定の本質
- STP分析によるマーケティング方法
- ターゲット設定の事例紹介
ターゲットを感覚的に設定するのはもったいないです。
ぜひこの記事で紹介している手順で、一緒にターゲットを設定してみてください。
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ターゲット設定だけでマーケティングを完結させるのはNG!STP分析の概要をサクッと解説
実はビジネスにおいて、ターゲット設定だけで100点満点のマーケティングをするのは難しいです。ターゲット設定をマーケティングのゴールにしては、ユーザーの本音を見抜いたり、具体的な戦略を立てたりできないためです。
より効果的なマーケティングを行うには、次の3つのステップを意識しましょう。
- 市場に関わるユーザーのグループ分け
- グループ分けをもとにしたターゲット設定
- ターゲット設定の結果によるさらなる分析
この一連の流れが「STP分析」と呼ばれています。ターゲット設定は、マーケティングの流れの中にある段階の1つだということです。
ターゲット設定というと「売りたい相手を決めるんでしょ?」と、簡単に考えてしまいがち。
しかし「若者向けの服を扱うから、メインターゲットは大学生!」といったざっくりしたターゲット設定では、購買層の気持ちやニーズを深く分析することはできません。なんとなくでターゲットを説明するのではなく「なぜそのターゲットを選んだか」「ターゲットのためにどのようなマーケティングをするのか」を言語化できることが重要です。
感覚派のターゲット設定を卒業するメリット主に2つ。
- ターゲットを決めることでビジネスでの立ち回り方が鮮明になる
- 狭く深い戦略でマーケティングでの取りこぼしがなくなる
ターゲット設定も含めて順を追ったSTP分析を行い、ぜひマーケティングに活用していきましょう。
【STP分析のステップ1】S(セグメンテーション)
ここからは、ターゲット設定との関わりが深いSTP分析について紹介していきます。
STP分析の最初のステップであるSは、セグメンテーションの頭文字をとっています。さまざまなセグメント分け(グループ分け)により、市場の現状を理解するステップです。
セグメンテーションは、STP分析やマーケティングの土台となります。
土台部分で認識を間違えると、肝心なターゲット設定もどこかズレたものとなってしまうので注意してください。
セグメント分けの基準となる項目の例は次の通りです。
- 地域
- 個人のプロフィール
- その人ごとの価値観
- 商品やサービスとの接し方
それぞれ確認し、商品に関する市場について詳しく考えてみましょう。
1.地域
商品に関わる地域性によるセグメントです。
例えば、醤油の地域性をグループ分けするなら次のような分類が可能です。
- 九州:甘口醤油
- 四国:うす口醤油
- 九州・近畿:濃口とうす口の醤油が混在
- 中京:たまり醤油・白醤油
- 関東:濃口醤油
- 東北・北海道:だし入り醤油
マーケティングでは地理的変数(ジオグラフィック変数)とも呼ばれています。地域性のセグメント分けは「地域によってコンビニで売られるおでんの味付けを変えている」など、身近なマーケティングでも役立っています。
2.個人のプロフィール
個人のプロフィールでもセグメント分けが可能です。
人口動態変数(デモグラフィック変数)とも表現します。
これらのように、あらゆる角度のセグメントを作れます。年齢であれば「10歳区切り」のようなシンプルなセグメント分けはもちろん、少し面白みのあるプロフィールでも応用できます。
例えば携帯に関する世代分けをしてみましょう。
と、年齢を分類できるのです。
マーケティングではM1、F1、Z世代などのグループ分けも多く使われていています。
3.その人ごとの価値観
その人ごとの価値観は、心理的変数(サイコグラフィック変数)ともいいます。出身地や年代が同じユーザー同士でも、価値観が違えば購買行動にも差が生まれるので、マーケティングでも重要な要素です。
価値観でグループ分けをした例は次の通りです。
- 高級志向・プチプラ志向
- インドア派・アウトドア派
- ミニマリスト
- 子供好き
価値観を分析することで、細かなターゲット設定やニーズの把握に役立ちます。
4.商品やサービスとの接し方
商品やサービスへの接し方もその人ごとに違うので、さまざまなセグメントに分類できます。
次のような角度で、ユーザーを分類してみましょう。
- 商品やサービスへの知識量
- 購入頻度
- 使用場面
- 商品への印象
例えばファッション雑誌の購入頻度なら、次のようなセグメント分けが可能です。
- 毎月欠かさず買う
- 定期購読している
- 気が向いたら買う
- 気になる付録があったら買う
- 表紙の芸能人で購入を決める
マーケティングでは行動変数(ビヘイビアル)と呼ばれる指標です。実際にアサヒビールなら、ビールを嗜む頻度をライト・ミドル・ヘビーと段階的にセグメント分けし、マーケティングの材料にしています。
【STP分析のステップ2】T(ターゲット設定)
ターゲット設定では、セグメンテーションにより浮かび上がった中から、どの市場でビジネスを展開するかを決めていきます。
ターゲティングとも呼ばれるマーケティング段階です。「自社の強みを最大限に活かせる」「ライバル企業よりも優位に立てる」という市場をターゲットとして設定することが理想です。
次の6つの項目を使って気になる市場を分析し、ポジティブに評価できる領域を探しましょう。
- 市場規模(Realistic scale)
- 市場の成長性(Rate of growth)
- 優先順位(Rank)
- 到達可能性(Reach)
- 競合他社(Rival)
- 測定可能性(Response)
このフレームワークは、分析内容の頭文字から「R」をとって6Rとも呼ばれています。こちらでは例として「安くお腹を満たしたい学生」というセグメントの心に刺さるグルメ系メディアサイトの立ち上げを仮定し、ファストフードという題材は適切かを分析します。
分析をしてみて売上が見込めなそうな市場であると明らかになったら、他のセグメンテーションの組み合わせでも市場を考え直してみましょう。
6Rを使った分析のポイントを詳しく紹介していきます!
1.市場規模(Realistic scale)
市場規模が大きいほど、売上や集客を見込めます。しかし、あまりに大きな市場では既存の大手企業や新規参入者の多さが壁となるでしょう。
また、セグメントの組み合わせを色々と試し、規模が限られた市場を探すニッチ戦略も、マーケティングの1つです。
市場規模を調べるには、省庁や業界団体が発行している統計をチェックするのがおすすめ。
ファストフードの市場規模は毎年3兆円以上と、十分に巨大な市場であるといえます。
2.市場の成長性(Rate of growth)
市場規模と合わせて、成長性も確認しておきましょう。どんなに市場規模が大きくても、成長が止まってしまえば後発のビジネスが売上を確保するチャンスが減ってしまうためです。
衰退期に突入している市場では、成長が回復する見込みがなければ参入を見送ることも検討してください。
ファストフードでは、大手企業の異物混入問題や消費税の増税を受けても、大幅な落ち込みはみられませんでした。そのため、今後も成長率の下落が起こるとは考えにくいです。
3.優先順位(Rank)
優先順位の高さは、主に次の要素が参考になります。
- グループ分けしたセグメントの影響力(SNSでの拡散力など)
- マスコミからの注目度
- 世間からの知名度
波及効果が高い市場ほど優先順位が高くなり、ビジネスで活用できます。ファストフードを知らない学生はほとんどいないので、優先順位は高いと判断できるでしょう。
4.到達可能性(Reach)
狙っているユーザー層にビジネスの情報を届けられるかどうかを考えます。宣伝を伝える手段がなかったり、ユーザーが住んでいる地域とビジネスを行う場所の距離が遠かったりする市場は、到達可能性が不十分です。
その点メディアでファストフードの発信をするビジネスでは、SNSとの親和性が高いため「安くお腹を満たしたい学生」に情報を届けられる可能性は高いでしょう。
また、インターネット上のメディアであれば、地理的な壁がありません。
5.競合他社(Rival)
商品やサービスのライバルとなる企業をピックアップしましょう。競合他社が少なかったり、パワーが弱かったりする市場であるほど、上位ポジションを取りにいけます。
できる限り競合他社がいない市場であれば、マーケティングの効果がより発揮されるでしょう。
フード系メディアの中でもファストフードに特化した大手メディアはないので、競合性に問題はありません。
6.測定可能性(Response)
測定可能性とは、マーケティングの結果を数値として知れるかという指標です。
売上やセグメントからのリアクションを把握できなければ、マーケティングが成功したか分かりません。数値としてマーケティング効果を測定できれば、上手くいった施策をもう一度行ったり、弱点を分析したりしてビジネスの成長チャンスを作れます。
今回例にしているフード系メディアでは、Webサイトを媒体とすることで測定可能性を高められます。
インターネットでの発信であれば、アクセス数やコンテンツの閲覧時間を細かく測定し、マーケティングの参考にできるでしょう。
【STP分析のステップ3】P(ポジショニング)
セグメンテーションを行った中から、6Rのフレームワークでターゲットとして狙うべき市場まで辿り着きました。次はターゲットとして導き出した市場の中で、どのような立ち位置(ポジション)を目指すのかを決めていきましょう。
ポジショニングの段階では「ポジショニングマップ」を作ると分かりやすいです。
ポジショニングマップとは、市場の中で優位性の高い独自ポジションを見つけるための考え方です。
次の手順でポジショニングマップを作図しましょう。
- 縦軸と横軸を決める
- 競合企業や競合商品を配置する
- 浮かび上がった空白の領域に展開する
「安くお腹を満たしたい学生」というセグメントに向けたファストフード系メディアサイトを作るために、ポジショニングマップでライバルが少ない領域を探ってみましょう。
横軸と縦軸を「文字ベースか写真ベースか」「キュレーション記事と取材記事のどちらが中心か」で設定し、競合メディアを配置した例が次の通りです。
ポジショニングマップの中では「文字ベースのキュレーションメディア」「写真ベースの取材記事メディア」の位置が空白であるという結果になりました。
このように3段階でSTP分析を進めることで、ビジネスで狙うべき市場を洗い出せます。ターゲットをなんとなくで決めるだけでは分からなかった市場の状況が浮かび上がり、マーケティング効果の高い分野に進出できるでしょう。
マーケティングに成功している企業をSTPやターゲット設定で分析してみよう
ここまで説明してきた用語の羅列では、頭ではなんとなく理解しても、具体的なイメージがわかないという人も多いはず。
こちらではSTP分析を実際の事例に当てはめてみて、セグメンテーションやターゲット設定などの活用方法を解説していきます。
事例として紹介するのは次の2つです。
- ジャンプルーキー
- ペヤング
STP分析やターゲット設定の感覚を知り、ぜひご自身のビジネスに応用してみてください。
1.ジャンプルーキー
ジャンプルーキーとは、インディーズの漫画家が作品を投稿できるアプリです。少年ジャンプを手がける集英社が運営しています。
編集部に評価されれば、ジャンププラス(アプリ版ジャンプ)や本誌に掲載されるチャンスになるというサービス内容で、読者を楽しませることと漫画家にチャンスを与えることを両立していることが特徴。
読者側のターゲットや市場STP分析で見ていきましょう。
1.セグメンテーション
漫画読者の作品への価値観や行動パターンでセグメント(グループ分け)してみます。読者がジャンプルーキーをどう思うかなどは一旦考えず、客観的にセグメント分けすることが重要です。
漫画との接し方でセグメント分けした結果が、以下の通りです。
- 話題作は必ず読む
- スマホアプリの無料で読める漫画を読む
- 通勤・通学中の電車の中で少し読む
- インディーズ作品までリサーチしている
- 少年漫画派
- 少女漫画派
- オールジャンルの漫画を読む
など「漫画好き」といっても接し方や好みはバラバラであることが分かります。
2.ターゲット設定
導き出したセグメント分けのうち、ジャンプルーキーでは「インディーズ作品までリサーチし、売れる前の漫画家を応援することに満足感を感じる読者層」をターゲットにしています。
この市場はターゲットとして妥当なのか、6Rのフレームワークを一部使って考えてみましょう。
- 到達可能性:SNSや2chでのバズによりリーチの急拡大を狙える
- 競合他社:競合はあっても「ジャンプ」の知名度や誌面での宣伝で立ち位置の挽回は可能
- 測定可能性:シェア数やアクセス数などで作品への評判を測定できる
漫画アプリとして運営するには、十分な読者ターゲットとなるでしょう。「応援することに満足感を感じる」というセグメントの特徴を考慮すると、読者によるSNS投稿やアプリ内のリアクションの積極化が期待できます。
3.ポジショニング
参加者の本気度と運営者の漫画への専門性を掛け合わせてポジショニングマップを作ると、どちらのレベルも高いというインディーズ向け投稿媒体は他にありません。十分に空きがあり、上位を狙いやすいポジションであると分かります
集英社の新アプリとして「インディーズ作品までリサーチし、売れる前の漫画家を応援することに満足感を感じる読者層」をターゲットにするのは、妥当性が高いです。
2.ペヤング
ペヤングは、まるか食品のカップ麺ブランドです。主にカップ焼きそばを開発し、全国のスーパーやコンビニで販売しています。
ペヤングの「おもしろ系カップ焼きそば」というコンセプトやターゲット設定について、STP分析をしてみましょう。
1.セグメンテーション
まずはターゲット設定の材料となるセグメント分けです。
- 学生のおやつ
- 1人暮らしのランチ、おやつ、夕飯、
- サラリーマンのランチ、夜食
カップ焼きそばを食べるユーザー層をセグメント分けしていきましょう。子どもやお年寄りよりも、食べ盛り・働き盛りの世代のほうがカップ焼きそばとの距離が近いことがわかります。
2.ターゲティング
セグメントの中から「若い男性の1人暮らし」をターゲットと仮定し、6Rに当てはめてみます。
- 市場規模:女性やミドル世代の男性よりもペヤングを買う可能性が高い
- 到達可能性:世代的にSNSやYouTubeとの親和性が高く、バズを狙える
- 市場の成長性:若い男性からの人気が急落するような環境の変化は起こりにくい
かなり具体的にターゲットが見えてきました。「若い男性の一人暮らし」は、6Rで分析しても、カップ焼きそばやペヤングとの相性が抜群です。
3.ポジショニング
「若い男性の1人暮らし」をターゲットとしたライバル商品の中で、ペヤングのポジション取りを考えてみましょう。競合の一平ちゃんやUFOと比較すると、変わり種フレーバーを扱うカップ焼きそばのポジションは空いていることが分かります。
激辛や超特盛といったネタ要素が強い特徴は、ペヤングの独自マーケティングとして効果的です。
このように、ターゲット設定に辿り着くまでのセグメント分けや、狙うべき市場の妥当性を分析することが、マーケティングのポイントとなります。
ぜひこの記事を参考に「とりあえず」でのターゲット設定は卒業し、より理論的なマーケティングにチャレンジしていきましょう。
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